今年度、当館を利用して開催された展覧会や、まだホームページ上で紹介していなかった企画展をご紹介します。
 

① 「藤崎野鳥の会写真展 ~愛鳥週間によせて~」

開催期間 平成25年5月10日(金)~5月19日(日)


 

 冬と春の季節の変わりめの時期は、藤崎町の上空ではたくさんの白鳥が飛行する姿が見られ、あらためて「白鳥の飛来地」だと実感する頃となります。
 平川、岩木川等が合流する自然豊かな藤崎町白子地区には、白鳥のみならず年間を通して様々な野鳥が姿を見せます。岩木山を抱き絶好のポイントとして大勢の写真愛好家が訪れますが、藤崎野鳥の会の皆さんは、そこに生息または飛来する野鳥の環境を守るために写真を撮り続けているグループのひとつです。

 

 代表の成田光文さんは冬になると、毎日白鳥ふれあい広場に足を運び、カメラ片手に写真を撮りながら、白鳥の飛来数を調べています。町内の小学校で朝読書の時間に読み聞かせ活動もしている成田さんは、絵本や自分で撮った写真を使いながら子供たちの身近に生息する鳥の話をするそうです。時には子供たちに疑問を投げかけます。「10~12月にかけて藤崎町白子地区では200~300羽の白鳥が観察されますが、1~2月にはその数はわずか70~80羽になります。それはどうしてでしょうか?」子供たちの興味と好奇心をくすぐり、白鳥をはじめとする野鳥への関心を高めその保護、それらが生息する環境、自然を守ることの大切さを伝えます。

 成田さんは、身近に生息していながら存在を気に留められていない鳥「ムナグロ」にも注目しています。

 町内の田んぼに数百羽でいる様子を写真におさめ紹介したところ、子供たちはもちろん、何より若い担任の先生が「学校のすぐそばの田んぼにいるんですか!?」と驚いたといいます。
 展覧会開催中も、当館中庭の木をさし「今、そこに留まっているのはウグイス」と教えてもらい「ウグイス!こんな身近にも普通にいるんですか?」などとお客様と一緒に驚く場面もありました。また「そこの電柱の配管の中にすずめが出入りしているよ」「多分中に巣があるんだろう。出入りしているのは親鳥だろう」と聞いて、たったそれだけでその電柱が愛おしくなるのですから、楽しい毎日でした。

 3月も終わりに近くなり、北帰行の白鳥たちの声が青い空に鳴き響いてくる頃です。ようやく津軽にも春がやってきます。

 

② 「渡邊司 はり絵展」

開催期間 平成25年7月31日(水)~8月4日(日)

 

 春が間近になると、道路端の雪が融け路面を濡らします。まさにこの作品がその様子を見事にとらえています。

 …と言っても、これは筆で描いた水彩でもなければ油彩画でもなく「はり絵」なのです。

 -「はり絵」と「ちぎり絵」は違うのですか。
 -「ちがいます。」
…と作者の渡邊司さん。製作に使うのは、私たちが普段目にして、子供たちが遊ぶ「折り紙」と「のり」それだけなのだそうです。

 上の写真は(ガラスが反射してよく見えませんが)雪の降る背景に黒石のこみせの風景が透けて重なります。・・・折り紙だけで作られているの?前述の作品も、雪解けの路面の透明感がよく表現されており、これも折り紙だけでできるの・・・?

 答えはもちろん折り紙だけ、なのです。


 これは渡邊さんが長年の経験と技術で得た、渡邊さんにしかできない「はり絵」です。
 折り紙を裂き、裂いた時にできる紙の裂け目のうすい部分を利用し、さらにはのりでわずかにわずかにのばしながら、重ねて色をだすとのことで、渡邊司作「はり絵」はこういった綿密繊細な作業に裏打ちされて、折り紙だけで作ったとは思えない透明感や質感が表現された作品が完成するのです。

 渡邊さんが今までもこれからもこの作品だけは、譲れないという大切にしている作品を紹介します。

 はり絵に出会った初期の頃の作品で残っているのはこの一枚だけということでした。「技術的には今と比べられない位未熟だけれど、大胆な色づかいは同じ作品を作ろうと思っても二度とできない。自分の作品の原点であり大事な一枚。」とおっしゃっていました。

 製作の段階で「折り紙を裂いて裂いて、自分の思い描くような裂け目がでるまで、ただただ一心に折り紙を裂く日もある。」とのことでした。小声で「さすがにゴミ袋いっぱいになる時は・・・」奥様の視線が気になると笑っていましたが…。

 ある日のお客様の「渡邊さんの作品は、製作している渡邊さんの人柄がにじみ出ていて観ていると心の隅が温かくなります」とおっしゃた言葉が印象的でした。渡邊さんの作品のファンで、自宅の玄関に飾ってあるということでした。
たくさんのお客様に喜ばれた「はり絵展」でした。

 

 

③ 「作ってたのしい、使ってうれしい レザークラフト展 ~体験を中心に~」

開催期間 平成25年9月13日(金)~9月15日(日)

 

  今回当館では初めての企画となった「レザークラフト展」~体験を中心に~を開催しました。

 町内で活動しているレザークラフトサークルの皆さんにお願いをしましたが、代表の佐野テチさんを囲んで会員の方がそれぞれ個性を尊重し合い、楽しそうに製作している姿がとても心地よかった展覧会となりました。

 お友達や親子でなど参加してくださったお客様も、始終楽しそうで初めての方も安心して楽しんで作ることができました。

 作って楽しい、使って嬉しい体験になりました。

 お客様に体験して喜んでいただく企画をと思って開催した企画展でしたので、直にお客様と触れあえる楽しいものとなりました。
 たくさんのお客様においでいただきありがとうございました。
 お友達で、親子で大切に使ってくださいね。

 

 


 今年度、当館展示室で開催してくださった「藤崎野鳥の会写真展」と「渡邊司はり絵展」は、お陰様で大勢のお客様に喜んでいただきました。感謝申しあげます。また、今年度企画展に出展してくださった方々、ご来場してくださった方々にお礼申しあげます。ありがとうございました。

 今後もお客様に喜んでいただける企画をと思っております。1人でも多くのお客様のご来場をお待ちしております。