開催期間 平成25年1月18日(金)~1月27日(日)

3年前にも好評だった藤崎町「工房藍の里」の皆さんによる藍染め展を開催中です。

「藤崎はその昔津軽の藍の主産地だった」と、町内で歴史に詳しい方の資料や「藤崎町誌」にも藤崎と藍の由来が記述されています。

それらを要約すると・・・

「藍は江戸時代より藤崎の特産でありました。

 特に明治政府の政策のひとつである士族授産のもと、岩木川と平川の合流する藤崎の肥えた土が何より藍の栽培に適しており、現在の白子地区周辺において藍の栽培、および「すくも」(藍の葉を発酵させて製した染料)の製造が盛んに行われていました。

 しかし化学染料等や外国産の安価な藍の輸入、生産性の高いりんご栽培の代替により藍の栽培は次第に衰退していき、現在藤崎町では自家栽培でわずかに残るだけとなりました。」

 

工房藍の里は、かつて藍の栽培が盛んだった藤崎町の伝統を復活させようと有志が集まり結成されたのが十数年前とのことで、現在は町内の会員のみならず、青森市、五所川原、板柳、鶴田など町外からも会員が集まり活動しています。

町外の会員の方は、前回当館で開催したとき観に来て「やってみたい」と会員になった方がほとんどだということで、今回は初めて展覧会に出品する会員もいらっしゃるようで励みになってくれていたら嬉しいのですが。

今回は、展示のみで販売はしていませんが、藍染めが好きなお客さまは気に入った作品の前で離れがたくいらっしゃるようです。

現在、藍の栽培は、藍の里の会長の相坂鐵榮さんの畑で自家栽培をしています。

ただ、ここ2~3年は「種子保存のため栽培はしているが収穫はしていない」ということで、現在染めにつかっているすくもは何年か前の物を使用しているので「そろそろ収穫しないとな…」と相坂さんはつぶやいていました。

藍は「タデ科」の一年草で、種まき、植え付け、管理を経て8月頃収穫し、刈り取った葉を乾燥・発酵させて「すくも」と呼ばれる染料にするのだそうです。

と、簡単に書きましたが、実際活動されている会員のお一人に伺ったところ、何ヶ月もかけて葉を乾燥・発酵させるのだが、この間乾燥した葉に水を何回もかけ混ぜ切り返しを繰り返す。「そうしているうちに発酵してくると匂いがすごいのよ…」とおっしゃっていました。

苦労して作り出した「すくも」を水と一緒に容器(かめ)にいれさらに発酵させて、それらに布や糸を漬け込んで染めていくのだそうです。

 

青森市からおいでくださったお客さまは

「県内何ヵ所か藍染めをしている工房やグループはあるけれど、それぞれの工房で藍の色が微妙に違うのがまた楽しい」と話してくださいました。

発酵を繰り返しながら、大切に作られ育てられている藍は「生きている」からこそ観る人の心をつかんで離さないのかもしれません。

今日おいでくださった女性のお客さまは、新聞の記事を見てどうしても来たくておいでくださったとか。

「観に来てよかった!」と感激してくださいました。

お話しを伺うと、昨年秋 突然の病気におそわれ、お医者様からは「何もしないで安静にしていること」と言われ、現在は貧血がひどく家でもほぼ横になっている状態で…ということでした。大好きだったパッチワークさえ手に取れない状況で気持ちもふさがっていたところに、新聞の記事をみてご主人に頼んで乗せて来てもらったとのこと。(今回、展示のみですが会員の方がいらっしゃたので特別に)気に入ったストールを買い求められて「貧血がひどくてあんまり顔が青いので恥ずかしくてマスクしてきたの。でもこのストール似合うでしょ。冬もいいけど夏の冷房対策にもずっと使えるわね!外に出るの無理かなと思ってやっと車に乗ってきたのだけれど、いろんな作品を観られてよかった! 」と大変喜ばれて早速首に巻いて帰られました。

喜んでくださるお客さまの顔をみるのが展示する側の最大の喜びで、

更にそういうお客さまに触れて、会員の方の活動の励みにもなってくれると更に嬉しいですね。

ぜひ会場で、伝統を復活させ守り続けている工房藍の里の皆さんの作品達に会ってください。おまちしております。